和解において期限の利益喪失条項及び免除条項を定める際の留意点

高額な債務の支払義務を認めつつ、一定額を分割で滞りなく支払った段階で残部の支払いを免除するという和解条項を締結することがあります。

 

この場合、「期限の利益を喪失しなかったとき」に免除の効力が生じると定める場合が多いように思います。

 

しかし、この内容だと、期限の利益を喪失しない不履行が存在する場合にも免除の効果が生じてしまうという問題点があります。

 

というのも、仮に、支払いを2回怠った場合に期限の利益を喪失すると定めている場合、所定の最後の1回を支払わなかったときであっても期限の利益を喪失しないため、免除の効果が生じてしまうのです。

 

そこで、このような場面を想定して条件を限定し、「○○が期限の利益を喪失することなく最後の期限までに第○項の分割金○○円を支払ったときは、○○は、○○に対し、第○項のその余の支払義務を免除する。」と定めるべきでしょう。